突然ですが、普段から牛乳を摂取していますか?
「カルシウムが豊富に含まれる」とされる牛乳は成長期に最も必要とされますが、大人でも毎日必要な摂取量は決まっており、不足すると骨が弱まって骨折しやすい体になってしまいます。
特に、近年は老若男女問わず全ての人に本来必要なカルシウムが足りておらず、将来的な骨粗鬆症のリスクを高めているとも言われているので注意が必要です。
しかし、牛乳をただ摂取しているだけでは、効率良くカルシウムなどの栄養素を補給する事は出来ません。
そこで今回は、骨を強くする為に重要な牛乳のカルシウムの吸収率を高め、効率良く摂取する方法を3つ紹介します!
最近牛乳を飲んでいない人
偏食気味で骨の退化が気になる人
自分の子供を健康的に育てたい人
Contents
牛乳だけではカルシウムが足りない!

どうして「牛乳と言えばカルシウム!」と言われるのかを知っていますか?
カルシウムは体内に取り込んだからといって、全てが体に吸収されるわけではありません。
というのも、カルシウムは元々体が吸収しにくい栄養素であるからです。
そこで重要になるのが食品毎のカルシウムの吸収率!いくらカルシウムが豊富だとしても、実際に体に吸収されなければ意味がありません。
牛乳には100ml当たり110mgのカルシウムが含まれているとされており、コップ1杯200mlを飲んだとすると、約220mgのカルシウムを摂取できることになります。
しかし、食品の中でも類を見ないほどカルシウムの吸収率が高いといわれる牛乳でも、吸収率は約40%ほど。
※200mlの牛乳を飲んだ場合、実際に体が吸収する量は88mg程度です。
日本人の食事摂取基準(2015年度版)では、18歳以上が1日に必要なカルシウム量は平均して600mg~800mgほどとされています。
ですが、国民健康・栄養調査と合わせてみると、以下の表の通りカルシウムの推奨量と実際の摂取量に差があるのが分かります。
年齢(歳) | 男性 | 女性 | ||
---|---|---|---|---|
推奨量(mg/日) | 摂取量(mg/日) | 推奨量(mg/日) | 摂取量(mg/日) | |
1~2 | 450 | 372 | 400 | 332 |
3~5 | 600 | 452 | 550 | 427 |
6~7 | 600 | 581 | 550 | 547 |
8~9 | 650 | 689 | 750 | 633 |
10~11 | 700 | 723 | 750 | 635 |
12~14 | 1000 | 716 | 800 | 607 |
15~17 | 800 | 566 | 650 | 486 |
18~29 | 800 | 460 | 650 | 413 |
30~49 | 650 | 437 | 650 | 429 |
50~69 | 700 | 520 | 650 | 516 |
70以上 | 700 | 556 | 650 | 516 |
出典:推奨量「日本人の食事摂取基準(2015年版)」&摂取量「H24年国民健康・栄養調査」
赤色で表記した部分は全て摂取量が足りていないということなので、男性の8~11歳以外は全て必要な分だけのカルシウムを摂取できていないのが分かりますね。
特に女性の場合は、思春期を過ぎた頃からガクッとカルシウムの摂取量が減っています。これにはダイエットや偏食による栄養素の不足が影響していると考えられます。
ただ、だからといって「牛乳をたくさん飲めば足りないカルシウムが補給できるのか?」というとそうではありません。
カルシウムの吸収率を高める方法3選!

カルシウムの吸収率を高める方法は3つあります。
①適度な運動
②マグネシウム・ビタミンD・ビタミンKと一緒に摂取する
③牛乳を朝では無く夜の寝る前に飲む
これらのことを、カルシウムが一番多く含まれ、一番吸収率が高い牛乳と合わせて行うことで、体に必要なカルシウムを効果的に摂取することが出来ます。
牛乳に含まれるタンパク質(カゼイン)の分解物である「カゼイン・ホスホ・ペプチド(CPP)」が、吸収率を高める。
牛乳に含まれる乳糖が小腸の吸収を助ける細胞に作用することで、カルシウムの吸収を促進。
牛乳に含まれるカルシウムとリンが理想的な約1:1の比率。
牛乳に含まれるタンパク質は、アミノ酸スコアが100を記録する良質なタンパク質となっています。
また、牛乳に含まれるリンは僕達の骨や歯を作っていて、神経や筋肉の機能を調整する大切なミネラル。
更に、カルシウムの吸収率を高める理想的なバランス『カルシウム1対リン1』となっているのも魅力です。
しかし、牛乳には栄養素が多く含まれる分、脂質も多い食品です。
なので、牛乳だけに頼らず他の食品と一緒にカルシウムを摂取していく必要があります。
1.適度な運動で吸収率を高める
カルシウムの吸収率を高める方法の中で、一番基本的で簡単な方法が「適度な運動をすること」です。
人間の骨は、運動することによってどんどんと骨を強くしようとする為、適度な負荷を与えてあげるとカルシウムを骨が欲しがり、吸収率を高めてくれます。
でも、「適度な運動と言われても何をすれば…?」と感じる人もいるでしょう。
深く考える必要はありません。要は骨に負荷が掛かることをすれば良いので、
・ウォーキング
・ランニング
・ジャンプ
これらの”体に振動を与える動作”を、日頃の生活に取り入れれば大丈夫です。
人間座っているだけじゃ悪いものが溜まっていく一方だし、体に必要な栄養を循環させるには運動するのが大事だよ!
2.マグネシウム・ビタミンD・ビタミンKと一緒に摂取することで吸収率を高める

カルシウムが豊富に含まれる乳製品と一緒に、マグネシウム・ビタミンD・ビタミンKが多く含まれる食材を摂取すると、カルシウムの吸収率を高めることが出来ます。
・牛乳やヨーグルトなどの乳製品
カルシウム吸収率:約40%・小魚や海藻類
カルシウム吸収率:約30%・豆や大豆製品
カルシウム吸収率:約18%・野菜
カルシウム吸収率:約18%これらの中から最低でも2つ選択し、以下に挙げる栄養素と一緒に摂取する事が望まれます。
マグネシウムは体内の酵素の働きを助け、骨を形成するのに必要な栄養素です。
骨の中に入り込むカルシウム量を調節する効果があり、不足するとカルシウムが骨形成の役に立たなくなってしまうほど重要な栄養素。
骨密度の増加や骨折予防の効果が期待でき、『カルシウムとマグネシウムを2:1の割合』で摂取するのが理想的です。
・ひじき
・納豆
・木綿豆腐
・アーモンド
・さつま芋
カルシウムと一緒に摂取するべき栄養素の代表と言えば、ビタミンDです!
本来、ビタミンDは日光を浴びることで体内に生成されるものですが、近年の日焼け止めによる紫外線対策や室内作業の増加によって、自然にビタミンDを生成している人が減っているのが現状。
なので、今まで以上にビタミンDの重要性は高まっていくとも言われています。
腸や血液に入ったカルシウムを吸収し、骨まで届ける重要な役割を担っているビタミンDは、積極的に摂取していくようにしましょう!
・サケ
・サンマ
・イワシ
・しめじ
・干ししいたけ
カルシウムは牛乳の吸収率からも分かる通り、体内に蓄積させる能力を持った栄養素が無いと尿として外に排出されてしまいます。
タンパク質やコラーゲンを助ける働きがあるビタミンKは、出血を止める効果があるほど万能な栄養素です。
ビタミンKは、カルシウムの吸収力を高めて骨を強く固める為には必要不可欠な栄養素と言えます。
・ほうれん草
・小松菜
・ブロッコリー
・納豆
・ひじき
3.牛乳を朝では無く夜の寝る前に飲むことで吸収率を高める

カルシウムが一番豊富に含まれる牛乳を例に、就寝前に摂取する事で得られる効果を紹介します。
「牛乳は毎朝しっかり飲んでいる。」という人も多いのではないでしょうか?
ですが、牛乳は朝に飲むよりも夜の寝る前に飲むのが良いとされています。
なぜなら、「寝る子は育つ。」と言うように、子供も大人も関係なく、骨を成長・維持するには寝る前の成長ホルモンが活発化する前に牛乳を摂取するのが良いからです。
夜に牛乳を飲むのが良い理由について、まとめるとこうです。
睡眠中に分泌される成長ホルモンと牛乳に含まれるタンパク質やビタミンB1が合わさることによって、子供は成長、大人は疲労回復に効果が期待できる。
空腹感の減少や便秘解消。
夜に活性化する骨芽細胞による骨の合成を助ける、カルシウムやたんぱく質などを摂取しておく。
睡眠ホルモンと呼ばれるメラトニンが分泌され、眠りやすくなる。
カルシウムを沈着させるのには夜が効果的。
以上のように、リラックス効果が期待できる牛乳は夜に摂取する方がメリットが多いのです。
成長ホルモンと共にカルシウムの吸収率を高めるなら、夜の寝る前に牛乳を飲むようにしましょう!
要注意!カルシウムの吸収率を下げてしまう「リン」

ここまでカルシウムの吸収率を高める方法を紹介してきましたが、カルシウムを摂取する際に気を付けてほしい栄養素についても説明しておきます。
先ほど、牛乳にはカルシウムとリンが約1:1の理想的な量で配合されていると説明しました。
この1:1という割合は正確な数字で表すと、牛乳100mlに対してカルシウムが110g、リンが93mgの割合で含まれていることです。
リンはカルシウムよりも少ない分には悪い影響を与えませんが、摂取量がカルシウムを上回ると、副甲状腺ホルモン(パラサイロイドホルモン)の働きで骨からのカルシウム溶出が行われます。
そうすると、骨から溶け出したカルシウムが腎臓や血管・脳などの軟組織に沈着してしまうのです。
リンは、特に加工食品などの食品添加物として多く含まれ、配合量の義務化はされていない為、どの食品にどれだけの量のリンが配合されているかは分かりません。
よって、普段から以下のようなリンが多く含まれる食べ物の摂取は控えるようにしましょう。
ハムやベーコンなどの加工肉
プロセスチーズ
インスタント麺
練り物や缶詰
ファーストフード
せっかくバランスが整った牛乳も、リンの過剰摂取によって力を発揮できなくなるし、見当違いな悪者扱いもされるから、たまったもんじゃ無いよね!
『牛乳の過剰摂取によって骨粗鬆症のリスクが高まる』などという話題を見かけますが、それは牛乳に非があるのでは無く、元々カルシウムの摂取量が足りないことによって起こっていること。
更には、普段の食事でリンを過剰に取り過ぎていることが、牛乳のリンと合わさってカルシウムの吸収率を下げ、より危ない状況を発生させているのです。
牛乳でバランス良くカルシウムとリンを摂取するなら、他の無駄なリンを摂取しないように要注意するのが先決ですよ!
まとめ:骨粗鬆症のリスクが高まっている今こそカルシウムの吸収率を高める生活を!

今回は、普段カルシウムに気を付けて牛乳を摂取している人や、反対に牛乳を飲んでいない人に対して、カルシウムの吸収率を高める方法を3つ紹介しました。
自分だけでなく、これから大きくなる自分の子供に対しても使える方法なので、「健康でたくましい子供に育てたい!」という人は、是非実践してみて下さい。
現代の人間は日本人だけに限らず、多くの食文化が混ざることによって大変な偏食を起こしています。
偏った食事ばかりでは本来必要な栄養素が損なわれ、体を悪くしてしまうことにも繋がるので、自分の体は自分で管理するようにしましょう!
18歳以上が1日に必要なカルシウム量は平均して600mg~800mgほどですが、ほとんどの人が毎日必要な量のカルシウムを摂取できていません。
しかも、年々一人当たりのカルシウム摂取量は減少傾向にあり、これから骨粗鬆症のリスクを抱えた人が大勢発生する危険性が高まっています。
他人事だと考えず、牛乳はもちろんのこと、カルシウムの吸収率を高める食生活・私生活を送るように心掛けて下さい!
最後までお読みいただきありがとうございます。
いつまでも骨から元気でいられるよう、効率的にカルシウムを摂取していきましょうね!
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