近年、教育の現場では何かと「食育」という言葉が使われ、農業を代表に自然の中で食と触れ合うことの重要性が高まっています。
というのも、通常「食育」という言葉から連想されるのは、”食を摂取する方法や食べ物それぞれの栄養素について学ぶ。”という意味だけ。
しかし、食育が本来持つ意味はそれだけに収まらず、本来食育が目指すのは『自分の力で生きていく力を育む事』です。
そこで今回は、北海道で約2年間酪農を経験してきた僕が、食育への繋がりと共に年々人気が高まっている、農業体験が子供や家族にもたらす5つの効果ついて詳しく説明します!
食育の本来の効果について知りたい人
子供に生き物・食べ物のありがたみを教えたい人
都会住みでも農業を体験したい人
こんにちは!りゅうたき(@takkyhokkaido)です。
僕は北海道へ移住して2年間「酪農」という農業を経験し、農業が人間に与える効果を身をもって体験してきました。
偏食化する子供が増え続けている現代、食に対する好き嫌いを減らすためにも農業の需要はどんどん高まっていますよ!
Contents
子供と一緒に自然の中で食育を学ぶ!

動物である人間は食事をしないと生きていくことが出来ず、食べ物から毎日必要な栄養素を摂取することで、元気に活動を行うことが出来ます。
ただ、何でも自分が好きな物を食べていれば良いのではなく、日頃からバランスが整った食事を心掛けていなければ、偏った食生活が生まれてしまうので注意が必要です。
ましてや、幼少期に摂取した栄養素が将来の体を作り出す子供にとって、食事は一番注視すべき事でもあるのです。
子供に食育を学ばせるには、スーパーで買った野菜や果物・おままごとだけで教えようとしても無理があります。
なぜなら、野菜でも果物でも、スーパーなどで売られる見た目が綺麗に整った食べ物は、消費者の目に留まるように形の良い物を生産する農家達の努力が詰まっているからです。
そこで、自然と共存して生きていく人間に必要なのが「農業」です。
平成26年3月に公表された「平成25年度の食と農に関する調査」によると、「子供を農林漁業体験に参加させたいと思う」と答えた20代~30代の親の割合は、どちらも約60%を超える結果が出ています。
年代 | アンケート数 | ①食と農の関わり、農林漁業体験に興味がある | ②日本の農業の将来に関心がある | ③農林漁業体験に参加したいと思う | ④子どもを農林漁業体験に参加させたいと思う |
---|---|---|---|---|---|
20代 | 121 | 38.1 | 43.3 | 33.9 | 57.5 |
30代 | 730 | 44.6 | 46.3 | 38.0 | 63.6 |
40代 | 782 | 38.8 | 44.9 | 36.0 | 61.2 |
50代 | 97 | 36.1 | 40.5 | 31.8 | 55.1 |
TOTAL | 1730 | 41.2 | 49.5 | 28.9 | △41.2 |
出典:平成25年度食育活動の全国展開委託事業「食と農に関する調査」
また、子供だけでなく両親が一緒に自然の中で食育を学ぶことで、家族全体が食事に対する向き合い方を改め、家族関係の緩和も期待されているのです。
農業体験がもたらす5つの効果

農業体験では、子供とその家族に対して5つの効果を期待できます。
- 食への関心を高めて子供の好き嫌いを克服
- 当たり前のことを当たり前だと思わせない教育
- 物を見た目だけで判断させない道徳性
- 親子のコミュニケーションの場を作る
- 地域の子供達や家族との交流を増やして社交性を磨く
以上、どれも農業体験によって得られる効果であり、食育を学ばせる上でとても重要なことです。
人間が生きていく基本である食事から道徳性や社交性を鍛えられる農業は、これからの時代に欠かせない存在と言えるでしょう。
僕は酪農の本場北海道で、新規就農希望者として約2年間農業を経験してきました。そこで得られた経験談を踏まえて、どんな効果を期待できるのか詳しく紹介していきます!
詳しくは他の記事にも書いているから、良かったら読んでみてね。

僕の場合は将来を想像して北海道で新規就農という形を試みましたが、農業は農地や設備が整っていればどこでも体験することが可能です。
是非、これから紹介する農業がもたらす5つの効果を想像しながら、子供に対する食育を考えてみて下さい。
1.食への関心を高めて子供の好き嫌いを克服
まずは、子育ての中でも大きな問題となる「子供の好き嫌い」に関係する効果について説明します。
昨今は、食生活の西洋化・欧米化によって様々な種類の食事を摂取している日本人。
和食を摂取する機会が減り、生鮮食品を使った彩り豊かな食事を見る機会が減っているのではないでしょうか?
食の西洋化・欧米化が進むと、必然的に脂質や食品添加物を多く使用した食事を摂取する事になり、本来必要な栄養素をバランス良く摂取できず、偏食化を招いてしまう恐れがあります。
しかし、だからといって「白砂糖などの食品添加物を徹底的に排除して、偏食にならないバランスの良い食事を心掛ける!」というのは、正直現実的ではありません。
なぜなら、今では手軽に手に入れる事が出来る清涼飲料水やカタカナだらけの食事に含まれる砂糖や調味料は、どうしても避けて通れるものでは無いからです。
ではどうすれば良いのかというと、”子供の食への関心を高める”ことに注力しましょう!
食事を見た目や味の濃さだけでしか判断できない子供は、ただ食べるだけでは食への関心を無くしてしまいます。
「好きなものは好き!嫌いなものは嫌い!」というワガママで好き嫌いの多い子供を作らない為には、農業で実際に野菜や果物などの生鮮食品と触れ合うことが大切です。
- 自分が食べているものがどのようにして出来たのか
- 栄養素のバランスが取れた食材を生産する大変さ
- 見た目も綺麗な食べ物を作り出すにはどれほどの努力が必要なのか
こういった生産者側の努力を農業を通じて知ることが、子供の好き嫌いを減らすことに繋がります。
僕が話を聞いた農家の中には、「元々野菜嫌いだった子供も、自家栽培している野菜なら何でも食べるようになったよ。」と言っていた所がいくつかありました!
食べ物本来の味が分かれば、「美味しい!」と感じて食べ物を嫌いになることが少ないようですね。
子供も実際に自分の体で農業を体験すれば、安易に食べ物を残して捨てるという行動には移らず、好き嫌いを克服することに繋がるはずです。
2.当たり前のことを当たり前だと思わせない教育

近所のスーパーやコンビニで売られる食べ物。お金さえあれば当たり前に食事にありつくことが出来ますよね?
「今更比べるのもおかしな話だ。」と言われるかもしれませんが、戦後の日本では牛乳1杯が貴重とされるほど、食べ物が不足していました。
それまでは農業が盛んで自給自足を行っていた人達も、農業で生計が取れなくなれば分業化し、職業の多様化が始まるようになったのです。
結果、金銭と食物を交換して暮らすようになり、現代の「お金による食との交換」が出来上がりました。
また、現代の日本の経済状況からも分かる通り、戦後の日本は食糧不足を補う為に貿易による輸入で食糧を確保することで、様々な食文化が混ざり合うようになりました。
情報化社会の現代、美味しいものは検索すればすぐに見つけることが出来ますが、食という欲望を膨らませれば膨らませるほど、それが当たり前になってしまいます。
しかし、地震などの天災によって食糧危機が訪れると、人間は見境無く食にありつこうと必死になり、「どうして自分に食べるものがないんだ!?」と販売店や政府を非難するようになるのです。
未来の子供を自己中な人間に育てない為には、親が当たり前のことを当たり前だと思わせない教育を行う必要があります。
いざという時に主菜と少しの副食で満足できるよう、食にありつける事へのありがたみを教えられる農業体験が、これからの食育の面でもマストとも言えますね!
3.物を見た目だけで判断させない道徳性
大人がスーパーなどに並ぶ野菜や果物・その他の食材を見た目で判断して選ぶように、子供にも物を見た目で判断してしまう悪影響が及んでいることを知っていますか?
情報化社会となった今では、アイドルなどの顔を武器にして仕事をする人が増えた影響で、人が見た目や顔で判断される事が多くなりました。
”人は見た目が9割”という言葉もあるほど、結局人は見た目でその人を判断して評価するようになっているのです。
でも農家も人間だから、見た目で牛達の可愛さランキングを作っている人も中にはいるよ…。
時代が流れるに連れて、テレビの中・お店で販売される物…それら全てが『綺麗でなければ売れないもの』と化しているのは言うまでもありません。
この流れが続いていくと、
可愛くない・かっこよくないから付き合いたくない
見た目が汚いから触りたくない・食べたくない
外見が他と違うから差別やイジメをしてしまう
などの悪影響を子供に及ぼすことに繋がります。
ですが、本来見た目なんてものはどうだって良いのです!
結婚している人なら分かると思いますが、もちろん見た目の好みもあれど、最終的に結婚を決めるのって”その人の内面に惹かれたから”ですよね!?
いくら見た目を綺麗に演出したとしても、中身の黒い部分が見え隠れすれば誰だって近付こうとはしないはず。
これは、人が口にする食べ物を生産する農業にも精通する部分があります。
農業を体験してみれば分かりますが、見た目が不格好でお店には置けないような野菜でも、想像以上に大きくて栄養素がたっぷり含まれたものがたくさん存在します。
そして、採れたて・新鮮な野菜は売られているものとは違い、格別の美味しさを誇っているのです。
食事を見た目で判断する
香りが強い食べ物を嫌う
甘い食べ物には中毒性があり見境無しに食べてしまう
子供にはこういった特性がありますが、素材本来の味を食べさせてあげることで、人間が本当に必要としている食べ物を本能で求めるようになります。
4.親子のコミュニケーションの場を作る

農業で生み出される作物から得られる食育への効果が分かったところで、次は親子のコミュニケーションについて考えてみましょう。
農業は、スマホやパソコンのように自分の指先だけ動かしていれば行える作業ではありません。
土や植物・動物などの自然に関わるものを大切にし、環境とも向き合いながら生産物を育てていかなければならず、そこには必ず「人」が関わってきます。
都心に住む家族ほど、子供が小さい頃でなければ農業体験を一緒に行うことも出来ないでしょう。
ましてや、インドアが増えて外で遊ぶことが少なくなった現代は、農業のような外に出て自然と触れ合い食育を学ぶことが重要視されているのです。
だからこそ、子供がまだ小さい内に、画面ではなくお互いの面と面が向かい合ったコミュニケーションの場として農業体験を利用してみて下さい。
苦労を共に分かち合い、成功した時の喜びを共有した仲でしか得られないことがきっとあるはずです!
「コミュニケーションを意識して一緒に何かを成し遂げる。」だけならスポーツなどでも可能ですが、その後に食して喜びを分かち合うことを考えたら、農業に勝る物はありません。
「最近親子のコミュニケーションがどんどん減っている…。」という人こそ、農業体験で親子のコミュニケーションの場を増やしてみて下さい!
5.地域の子供達や家族との交流を増やして社交性を磨く
最近では、都心でもビルの屋上に農場を設置するなどして、貸し出し農園を開いているところがいくつか存在します。
- 親戚に農家を営んでいる人がいない
- 農村がある地域まで通うのは現実的じゃない
- 休日手軽に農業体験がしたい
このような人達は、1から自分の手で作物を育てる農業体験が行える『貸し出し農園』を利用するのが手っ取り早いです。
しかし、貸し出し農園には必ず他の利用者がいます。よって、大人同士はもちろんですが、子供同士も社交的になって交流を深めなければなりません。
農園で作られた野菜達を利用してイベントを行う為、親子同士の交流の場としても人気を博していますよ!
”農業は1人でも行なえるもの”と認識している人も多いのではないでしょうか?
確かに間違いではありませんが、先ほども説明した通り農業にはコミュニケーションが重要であり、先陣者が大勢いる農業だからこそ色々な人の言葉がとても貴重になります。
どの農家だって、田舎であればあるほど地域の人達との関わりや農協との関係も深いですし、任される役割分担も増えていきますからね。
農業の本質は『人と人の繋がりを強化して生産性を高める』ことにあります。
積極的に地域の子供達や家族と接していくことで、自分の子供にも社交性が磨かれて良いこと尽くしですね!
収穫だけでなく0から学ばせるならアドバイザー付きのシェア畑がおすすめ!

ここまで、農業体験がもたらす5つの効果について説明してきました。
「昔に自分が経験した時のように、子供と一緒に農業体験してみたい!」と感じたのではないでしょうか?
そこで最後に、野菜や果物を栽培してみたいと感じた人におすすめの貸し出し農園を紹介します。
関東や関西に住んでいる人に紹介したいのが、『シェア畑』という貸し出し農園です。
テレビなどでも度々話題に上がるので、「見たこと・聞いたことがある」という人も多いはず。
更には、厳正に選ばれた熟練のアドバイザーが講師として付いているから、初めての初心者でも気軽に取り組むことができるんだよ!
住んでいる地域によっては、市民農園などの設備が整っているところもありますが、近頃の農業人気から「抽選で外れてしまって全然農業が出来ない…。」という悩みが続出。
しかも、市民農園の場合は農具や肥料などは全て自己負担で用意しなければならず、時間の限られた人にとっては”取り掛かりにくくて長続きしない”というのがほとんどです。
その点、シェア畑なら0から農業のイロハを教えてもらえる為、子供がチャレンジしたい場合にも簡単に挑戦しやすい環境が整っています。
「将来新規就農をしてみたい!」と志す人にも、シェア畑のような貸し出し農園でスキルを磨くのはとても友好的な手段です!

「でも話を聞くだけじゃ農園について良く分からない…」という人もいるでしょう。
そんな人は一度見学だけでも試してみてはいかがでしょうか?
シェア畑なら誰でも無料で見学が可能なので、関東関西の都心部に住んでいる人は是非チェックしてみて下さい!
\誰でも無料で見学可能!/

まとめ:普段から自然と触れ合う機会が少ない人こそ食育の為に農業体験を!

今回は、食育の本来の目指すところである『自分の力で生きていく力を育む事』にフォーカスして、農業体験がもたらす5つの効果を詳しく説明しました。
食育に対する考え方を見直す良い機会となれば幸いです。
20代・30代の親御世代が増えてきた今、子供に農業体験を行わせたいと考える人は年々増加しています。
普段から自然と触れ合う機会が少ない人こそ、食育の為に農業体験を検討してみて下さい!
現代の栄養素が偏った出来上がりの食事ばかり食べていては、食べものが持つ本当の効果を得ることは出来ません。
スマホやパソコンの普及で情報にまみれた社会では、人間が生きていく為に必要な農業を教えてあげるのが重要です。
子供に限らず、大人も食育に対する考え方を見直してみてはいかがでしょうか?
最後までお読みいただきありがとうございます。
食べられることのありがたみを感じて、楽しく食育が出来るように取り組んでいきましょう!
Twitterもやっているので、良かったらフォロー&絡みに来てください♪(@takkyhokkaido)