近所のスーパーで牛乳が品薄状態になっている…。
しかも、どうして牛乳の価格が値上げしているの?
これからの牛乳の生産量はどうなっていくんだろう…?
こんな疑問に答えます。
北海道の地震が酪農家・乳製品メーカーに大打撃!「値上げと品薄」
【2019年】牛乳の値上げには5つの理由があった「品薄の原因もまとめ」
2019年度以降も牛乳が値上げして、スーパーで品薄になるのは間違いなし!
こんにちは!りゅうたき(@takkyhokkaido)です。
僕は、北海道へ移住して2年間「酪農」という農業を経験し、生乳が出荷されていく場面を毎日のように見てきました。
最近では、2018年9月6日に起こった北海道地震によって牛乳の出荷量が低下し、牛乳が全国的にスーパーやコンビニで品薄状態となりましたよね?
「普段は売り切れもなく普通に買えるのに…」と、牛乳のありがたみを感じた経験がある人も多いはず。
ただしこの状況は、『近所のスーパーに牛乳が陳列されなくなる。』といった状況が当たり前のように起きているということに繋がるのです。
高齢化社会となっている日本は、健康志向の高まりから牛乳の消費量が上がっているのにも関わらず、生産量は年々低下しているのが大きな問題となっています。
そこで今回は、北海道の酪農を実体験してきた僕が、2019年以降も牛乳が値上げする5つの理由を詳しく説明します。
Contents
北海道の地震が酪農家・乳製品メーカーに大打撃!「値上げと品薄」
記憶に新しい人もいるかと思いますが、全国的に供給量が落ち着くまでは数週間掛かり、家庭だけでなく飲食店などにも大きな影響を与えましたよね。
大体『1,000ml入り200円~300円ほど』で買える牛乳。
普段何気なく購入していた人にとっては、驚きの事態だったのではないでしょうか?
でも、地震によって大打撃をくらったのは他でもない、酪農家と乳製品メーカーなんだ。
北海道の酪農は手絞りで搾乳(牛の乳絞り)を行う時代が過ぎ、現在はミルカーと呼ばれる搾乳機械を使った搾乳が基本となっています。
ミルカーで搾乳された生乳は、冷却タンク(バルククーラー)に貯蔵され、出荷の時まで保存されることになります。
冷却タンクは電気によって動かされているので、地震で停電が発生してしまうと牛乳を冷却保存することができなくなり、結果的に廃棄するしか方法がなくなってしまうのです。
また、酪農家だけでなく、貯蔵された生乳をパックにして全国に販売している森永などの乳製品メーカーも、電気が使えないことによって生乳を廃棄する決断を強いられました。
よって、パック化されずに廃棄された生乳はお金としての価値を無くし、北海道内の酪農家・乳製品メーカーに大打撃を与えたのです。
牛ちゃん達が命を削って出してくれた牛乳は、なるべく多くの人に飲んでもらいたいよね!
【2019年】牛乳の値上げには5つの理由があった「品薄の原因もまとめ」

それでは、牛乳が全国的に値上がりしてしまう理由を5つに分けて解説していきます。
下記の5つにまとめました。
- 地震で電気や水道が止まる
- 機械化による施設費の増大
- 円安によって飼料代が高騰
- 深刻な後継者不足による離農者の増大
- 紙パックなど、包材の値上がりによる製造コストの上昇
上記のような理由による牛乳の値上げは今後の牛乳供給に欠かせない対策であり、酪農家・乳製品メーカーによる供給を途絶えさせないためにも非常に重要なことです。
つまり、牛乳の生産量が全国的に低下すると、
”酪農家・乳製品メーカーへの利益をなるべく減らさないために、販売される牛乳を値上げする”
という対策が行われるということ。
結果、一般的なスーパーやコンビニなどで牛乳を購入する人達は、通常よりも高い価格で牛乳を買わなければならなくなるのです。
大体『1,000ml入り200円~300円ほど』という手軽な価格で手に入れられることが売りの牛乳は、ひとたび値上げが行われると一般家庭に対しては大きなダメージとなります。
”一定期間買わない”という選択肢もありますが、価格が普段よりも高くなったとしても、本当に牛乳を必要とする人は買わざるを得ないですよね?
でも、牛ちゃん達にはいつも感謝感謝だよ☆
牛乳にはカルシウムが豊富に含まれていることで有名ですよね?
ただ、他にも「たんぱく質・脂質・炭水化物・ミネラル・ビタミン」がバランス良く配合され、今後の高齢化社会にとっても非常に重要な役割を担っています。
しかし、日本国内の生乳生産量は年々減少しており、現在のような牛乳の安定供給が危険視されるようになってきたのが現状なのです。
では、先ほど牛乳が値上げしてしまう理由として挙げた5つを、さらに詳しく解説します。
1.地震で電気や水道が止まる
これは先ほども説明したとおり、地震によって電気や水道が止まると生乳を鮮度良く保管しておくことが困難になり、結果的に廃棄するしか方法がなくなってしまいます。
つまり停電で電気が使えなくなると、自動化された搾乳機械を動かすことができず、牛の乳を搾ることが不可能になるのです。
さらには、せっかく絞った生乳を冷却保存することもできず、命を削ってまで乳を出してくれた牛の労力を無駄にしてしまうことにも繋がるのです。
また、水道が使えなくなると搾乳機械を洗浄できなくなり、必然的に衛生面を考慮した搾乳が困難になってしまいます。
自動洗浄を行えず、生乳の鮮度を保てなくなる
搾乳機械やミルカーが使えず、搾乳ができない
牛の糞尿を掃除できず、どんどん衛生面が悪化
地震による停電・断水の影響で上記のようなことが起こり、生乳生産量が減って牛乳の値上げに繋がってしまうのです。
2.機械化による施設費の増大

近年、酪農家の間でも機械化の流れが進んでいます。
酪農家が高齢化しているという現状もありますが、それ以上に利益を考えた時に効率が良いからです。
というのも、牛乳が値上げされたからといって酪農家の収入が増えているわけではなく、反対に年々同じ頭数を絞っていても利益率は減少しているのが現状。
よって、生乳を1番の収入源にしている酪農家は、絞る頭数を増やして生計を維持していかなければならなくなるのです。
ただし、頭数を増やすなら機械化をして従業員も雇わなければならない。
それには施設費や人件費などの莫大な資金が必要。
仮に上記のような状態になってしまうと、リスクを恐れた酪農家が経営を畳むことを決断し、後ほど説明する”離農者の増大”にも繋がってしまうというわけです。
まとめると、
酪農家の肉体的負担を減らすために機械を導入
資金面での負担増大
離農者の増大
酪農家の資金面での負担を減らすために牛乳の値上げ
最初に戻る・・・
上記のような負のスパイラルが起こることで、全国的な牛乳の値上げを発生させてしまっているのです。
3.円安によって飼料代が高騰
牛乳の値上げは、畜産物全体に関わっていると言っても過言ではありません。
なぜなら、近年海外から輸入する穀物類は高騰の一途を辿り、飼料として穀物類を使用する畜産農家に大きな負担を与えているからです。
畜産農家の中でも、酪農家が使用する餌には大きく2種類あります。
粗飼料
配合飼料
この内の配合飼料にはトウモロコシや大豆といった穀物類が大量に使われており、牛の乳量を上げるのに欠かせない飼料となっています。
しかしここで問題なのが、配合飼料を製造しているメーカーのほとんどが海外のメーカーとなっている点。
海外での穀物類の価格上昇と日本の円安が合わさることで、飼料費の高騰化を招いてしまっているというわけですね。
飼料代が高騰化すれば自ずと酪農家に掛かる負担が大きくなりますし、生産コストが高くなって利益が無くなれば、当然酪農家は生活できなくなってしまいます。
だからこそ、牛の乳量を増やして国内の牛乳供給量を増やすためにも、高騰化した飼料代の補填として牛乳の値上げが行われるというわけですね。
4.深刻な後継者不足による離農者の増大

牛乳の値上げの背景には、先ほども少し触れた通り、酪農家を辞める離農者の増大が大きく影響しています。
離農者の増大を受け、国でも新規就農者への補助金を始めるなどの対策を行ってはいます。
ですが新規就農者よりも離農者の方が多いため、年々農家が減っていることに変わりはありません。
離農者が増大する理由には、下記のような原因が考えられます。
人手が足らない
深刻な後継者不足
自然災害による継続の断念
老朽化で修繕費を払えない
生産コストの上昇による経営の悪化
特に、農家の高齢化も問題となる中、深刻な後継者不足が離農者を増大させている主な原因です。
酪農大国の北海道でも、跡継ぎとなるはずの子供が首都圏や都会の札幌への引っ越しを相次いで行い、農業を志す人が減少しているのが現状。
さらには新規就農を志す人がいたとしても、農家を引き継ぐ際の土地代・建物代などのお金関係のいざこざが発生することで、就農を諦める人もいます。
基本的に農家を継ぐのは男性が中心。
農家に男の子が産まれなければ自ずと後継者不足になる可能性はグッと上がります。
また、農家は「自分の代で終わっても良い。」という考え方の人が多いので、後継者がいなければいないで、静かに経営に幕を下ろす人が大半です。
酪農家も同じく離農者が増大しているため、生乳の絶対値が下がることで生乳の価値が高まり、牛乳の値上げにも繋がるのですね。
5.紙パックなど、包材の値上がりによる製造コストの上昇
最後5つ目は、紙パックなど包材の値上がりによる問題について。
2019年4月1日から、牛乳パックにも使用される包材の価格が3%~7%値上げされることが決定しましたが、ニュースなどで知っている人も多いですよね?
有限な資源である包材を使用した紙パックは、国内の生産工場の減少や原料である輸入原紙の価格上昇によって、製造コストを引き上げざるを得ない状況です。
日本製紙グループのHPにも下記のような記述がされています。
当社は、生産会社の閉鎖、操業効率の改善、徹底したコストダウンに取り組んできましたが、液体用紙容器の主原料である輸入原紙をはじめ、アルミ箔等の副資材、包装材料、燃料、物流経費等の価格上昇が続き、液体用紙容器の採算は非常に厳しい状況となっております。
つきましては、現状の価格水準では自助努力のみで再生産可能な収益を確保することが困難な状況となっており、価格修正を実施させていただくこととしました。
出典:日本製紙グループ
牛乳としてスーパーやコンビニで販売されるには、低コストで製造できる紙パックを使用するのが基本です。
しかし、生乳そのものの価値が高くなるだけでなく、低コストで製造できていたはずの紙パックまで高騰化することで、牛乳全体の値上げにも拍車を掛けてしまっているのです。
雑菌が繁殖しやすい牛乳は、瓶や紙パックで販売することが推奨されています。
牛乳を紙パックに入れて販売するのには、低コストで販売できるという理由の他に、衛生面でも安心して販売できるという理由もあります。
と考える人も多いかもですが、牛乳がペットボトルで販売できない理由にもまた、様々な原因が隠されています。
詳しくは下記の記事でまとめているので、よかったら参考にどうぞ。
【なぜペットボトルの牛乳が無いの!?】コストも関係する理由5選!

まとめ:2019年度以降も牛乳が値上げして、スーパーで品薄になるのは間違いなし!

今回は、北海道の酪農家・乳製品メーカーに大打撃を与え、将来の酪農界にも影響する牛乳の値上げの理由を5つにまとめて解説しました。
今後も2019年4月1日の牛乳の値上げに伴って、価格高騰に拍車が掛かることが予想されます。
関連記事【なぜバターが不足するの?】スーパーで品薄になる裏側の理由3つ!
国内での生乳生産量を改善しなければ、近々スーパーやコンビニから牛乳を見なくなる日が来てもおかしくないと言えるでしょう。
また、いくら輸入を増やしたところで価格が更に高騰することは目に見えているので、どうにかして国内の生乳生産量を増やす対策が必要となります。
これから先、2018年の大地震と同じような事態が起こる可能性は十分にあります。
『問題が起きる度に牛乳が値上げして酪農家が減る。』
このままでは牛乳を飲めなくなる日が来るかもしれませんね。

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